“愛してる”の、その先に。
村井が私の身体を抱き寄せて、唇を塞いだ。
すぐに熱い舌が入ってきて、私の舌を追いかけた。
「んっ……んぅ……あ…」
村井の手のひらが、私の胸に触れた。
もう片方の手が、背中から服の中へ滑り込む。
「はぁっ…ちょ、ちょっと待って…」
やっと唇が離れると、私の胸に触れる村井の腕を抑える。
「…待たない。
待てませんよ、もう」
「あっ…」
村井が私のシャツをはだけさせると、左胸の傷跡にキスをした。
村井の熱い舌が、私の傷を舐める。
その動きが艶めかしくて、身体が震えた。
「…この傷、早川さんが1人で抱えて生きていくなら、俺も一緒に抱えます。
だから、俺にくれませんか。
早川さんの抱えてるもの全部、受け止めますから……」
「ばかね。
1人でそうやって背負おうとすると、身が持たないわよ。
守ろうとしなくて良いから…
全部受け止めようとしなくて良いから…
ただ、そばにいてくれればそれで良いから」
私はぎゅっと、村井の身体を抱きしめた。
…私はやっぱり、さみしかったのかもしれない。
どんなに深く抱き合っても、
どんなに廣瀬さんが私を求めてくれたとしても、
彼は私を置いて、家族の元へと帰っていく。
それが嫌だなんて思ったこともないけど、
そう思ってしまったら終わりだと、どこかで気付いていたのかもしれない。