“愛してる”の、その先に。

その表情に、何故か胸がきゅっと締め付けられた。


もどかしくて私が腰を小刻みに動かすと、村井はますます反応する。




「あっ、あっ、早川さん、俺、俺もう…」



「んっ……」



キスをしたと同時に、私の中が反応した。


それと連動するかのように、村井のが小さくビクンと震える。



「うっ…」


村井がぎゅっと私の腰を抱き寄せて、大きく突く。


2人の身体が溶け合うように、ひとつになった気がした。


意識が真っ白になる寸前に、


ふと廣瀬さんの笑顔が浮かんだ。


だけどそれは一瞬で消えて、


新しい感情が、胸いっぱいに広がる。


村井の身体をぎゅっと抱きしめて、

私はほんの少しだけ涙を流した。








ーーーーーーー……







「ほんとっっっうに、すみませんでした!」


シャツに腕を通している横で、村井が私に向かって土下座した。




「…風邪ひいて会社休んどいてこんな…

しかも早川さんに、風邪うつしちゃったかも…」


「やあね、私は村井より身体は丈夫よ。ここ何年も風邪なんてひいてないから」


私はため息をつきながら、乱れた髪を後ろでまとめた。



「…それにこんな、俺が無理矢理したみたいな……本当に、何て言ったら……」




「あぁもう!なんでそんな辛気臭い顔してんの?

嫌だったら、力尽くでも拒んでるわよ!」


「でも……」


村井はまだ不安なのか、正座したまま困った表情で私をみあげた。



「…ったく、さっきのあんたはどこ行っちゃったの?

散々生意気なこと言ってたくせに」



「うう…すみません…。


昨日、早川さんと廣瀬部長がその…

もしそういうことしたのだと思ったら、なんかもう悔しくて…」



「なにそれ」



私は呆れるを通り越して、可笑しくて笑った。












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