Perfume...
資料室の密会
「堀田次長……、見つかっちゃいま……す……」
「大丈夫だって、誰もこない」
「ユメの……こと、好き……なんですか?」
「あぁ……、ユメちゃんが入社したときからね」
「……うれしぃ……。ユメも前から……」
「もう黙って?」
この声……。
卑猥なキスらしき音が鳴り響いた。
地下一階資料室。
とても、とても神聖な場所。
普段、ここを出入りする人なんてほとんどいない。
よほど仕事熱心な社員だけ。
そんな場所で、男女の『音』を作り上げるのは、堀田イサムだ。
大きく深呼吸をして、わざとらしく、ヒールの音を響かせた。
カツっ、カツっと音を立てて、二人のもとに近づいて、ネクタイを緩めたイサムを見下ろした。