Perfume...
個室の扉を開くと5人の妹とイサムが一斉にこっちを見た。

イサムにどんな言葉をいってやろうか、なんて今日何度も考えていたけれど、なんとなくそんな言葉を吐く時間が『もったいない』と思ってしまう。

それもこれも月島ユウトのせい。

違う……月島ユウトのおかげ。


「チヒロ、遅かったな。それにしても、チヒロの妹、みんないい子だな」


すっかり上機嫌のイサム。

イサムと石野ユメの関係が、性欲処理とか、心変わりとか、もうどうでもよくて。

とりあえず、私は私の時間を大切にしたかった。


「イサム、これ」


お財布から12500円を取り出して、イサムに差し出した。


「……え?」

「私の分。妹の分はよろしくね!」

「チヒロ?」

「ごめん、私これから予定が入っちゃった」

「予定……て?」

「大切な……私のための時間」

「……チヒロ」

「バイバイ!イサム」

「えっ?!ちょっと待てって!」


慌てて個室から出てこようと立ち上がったイサムに釘をさした。


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