Perfume...
「悪いけど、妹の面倒見てくれないと、コロス」
「……え?」
「我が家から夕食代に合計75000円も消えるとかありえないから。せめて5人分はよろしく。それでとりあえずは見なかったことにしてあげる。今日のイサムの失態」
「じゃあ……許して……」
許すとか、そういうレベルの問題じゃないから。
「これからは『同僚』として仲良くしましょ。恋の相談なら受けるから、じゃ!」
12500円は正直イタイ。
でも、なんとなくすがすがしい気分でもあった。
駆け足でお店から出ると、月島ユウトがちょうど吸い終わった煙草を携帯灰皿にしまった。
「ケリついた?お嬢さん」
「おかげさまで」
「ふーん、じゃあ今、君はフリーってわけだ?」
「そうね」
「なら、大人の付き合いで」
差し出された右手にそっと手を伸ばすと、ぎゅっと握られた。
誰かと手をつないで歩くなんて……何年振り?
大人の付き合いと呼ぶにはあまりにも、学生みたいにドキドキしてしまった。