Perfume...
「ちょ……とぉ」
やっぱり嘘酔いではなかったらしい。
確かに、頬も手も真っ赤になってる。
酔っぱらった時のギャップ。
それから甘えた顔をしたくせに、大人のキスをしてきたギャップ。
そりゃそりゃKOされるでしょ、普通……。
幸せそうに眠る彼の顔を見て、なんだか笑ってしまった。
それから1時間。
彼は全く起きなくて、無理やり起こそうとすることもなく。
タクシーでそのままお持ち帰りをした。
はぁ、私、手が早い男かよっ!……みたいな。
まぁ、実家暮らしだし、両親と5人の妹がいるから、何がどうってこともないけれど。
タクシーの運転手さんと私の父で彼を私の部屋に運んだ。
「まぁ、これがユウくん?!寝顔を見る限りいい男になっちゃって」
とはしゃぐ母。
「チヒロ。ユウトなら、この家に婿養子に来てくれるんじゃないか?苗字変わるのは2回も3回も一緒だろう」
と、笑う父。
「チヒロ姉。今日のイサムって男より断然イイ男じゃん。ユウくん、年収いくらだろ?これで私も安心して嫁に出れるよ」
と、次女のヤヨイ。
「ユウくん……かぁ。あんまり記憶ない」
と三女のサツキ。
「酔っぱらってるうちに頂いて、既成事実つくっときなよ」
と四女のジュン。
「まぁくんの方がかっこいい」
と五女のカンナ。
「酒弱い男は趣味じゃない」
と六女のミナ。
それぞれの言葉を残して、私の部屋を去って行った。