Perfume...
『早くして』って、言いそうになったとき、階段を昇ってくる足音が聞こえた。

ハっと我に返って、指の動きを止めた彼と目があった。

あー、あの足音は『酔っぱらってるうちに頂いて、既成事実つくっときなよ』
と言っていた四女のジュンの足音だ。


「……足音……が、近い気がする」

「ユウくん、……あの……ね」

「チヒロ姉!お風呂空いたよー。てか、エッチ中だったらごめんねぇ」


大正解。

四女のジュンの声がして、隣の部屋に物音が響き始めた。

あー、私って、『足音ソムリエ』になれるかも、とか。


「……『チヒロ姉』って……ここ、どこ……?」

「うん、私の実家。……ごめん、言いそびれてた」

「……えっ!!」


固まったままの彼の身体。

熱くなったこの身体を鎮めるには、少しの時間が必要。

たぶん、彼も。

しばらくして、ふぅっと大きな深呼吸をして彼がクスっと笑った。

止まったままの指が、下着のわきから直接私の身体に触れた。


< 28 / 51 >

この作品をシェア

pagetop