Perfume...
「えー?俺は早く帰ってチーちゃんとセック……」
彼の言おうとしている言葉に予測がついてしまって、思わず口を両手でふさいだ。
「行きましょ!青山さんっ、お寿司屋さんに!!」
彼はぶつぶつ言っていたけれど、そんな彼を無視して青山さんと個室を出た。
そんな私たちのあとをあとから追いかけてきた彼が耳元で色っぽい声で囁いた。
「濡らした責任はちゃんとあとで取るからな。チーちゃん」
「ちょ……」
振り返った彼の背後に、とてもきれいな満月が夜空で輝いていた。
なんか悔しい。
なんか悔しい……!
彼のペースがなんか悔しいっ!!
だからネクタイをひっぱって、耳元で囁き返してやった。
「あれだけ家族がいる我が家で、できるもんならしてみなさいよ」
男はみんな狼。
満月の夜、できるなら本当に彼に食べられてみたいけど。
なんとなく、実現しなそうな……我が家を思い浮かべてため息をついた。