Cotton Candy【ベリカ限定】
「……だと思ってた」


あたしが言った後、眉をしかめていた雅の表情が一瞬だけ変わった。


たった一瞬だけど、困惑しているような表情を覗かせた彼の姿を、あたしは見逃さなかった。


「何で過去形なんだよ?」


そう訊いた雅を真っ直ぐ見つめ直し、口を開いた。


「雅の彼女だって思ってたのは、自分(アタシ)だけだったから……」


自分で言った言葉に、胸の奥がギュッと締め付けられる。


それでも、雅を見つめたまま話を続けた。


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