駆け込み乗車は、ご遠慮下さい。
でも、カーテンを開けた瞬間、蓮兄は掛け布団を、頭までかけたのだ。
はぁ。
ため息が出る。
もし、私が独り暮らしをすることになったとき、ただでさえ忙しいのに、美和子さんが可哀想になってきた。
「蓮兄起きて、朝だよ。」
声をかけても、もちろん起きない。反応すらしない。
私は、蓮兄の体をゆらゆらと揺する。
「蓮兄。起きてよ。」
「ん……脳が揺れる……」
眉を寄せながら、低い声で私に文句を言って、また目を閉じた。