天然王子とツッコミ姫☆
下から見るとさらに際立つ、長い睫毛だとか。
端正な横顔にかかる、柔らかい髪だとか。
普段は気にしないような、西山の容姿を意識しちゃって、つい目が離せなくなる。
……なんだかそれが悔しくて、
「……っちょ、降ろしてよ!!」
と抗議しながら胸を押せば、その予想以上の胸の硬さに『男』を感じてしまい、
「〜〜〜っ」
ますます赤くなるばかり。
それ以上押し返すのも気が引けてしまって、手を引っ込めて俯いた直後――…
目の前の玄関が、なにもしてないのにゆっくりと開かれ……
「お帰りなさいませ、翔太様!!
ようこそ、藤野美姫様!!」
奥まで伸びる赤い絨毯と、
その両脇に並ぶ大量のメイドさんアンド執事さんと、
思いもよらない歓迎の言葉が
私と西山に降り注いだ。