私の好きな人は駐在さん

今世紀最大の失態?!



ん……??

白く明るい視界が開けた。
ぼやっとした、視界が鮮明になるまで、数秒間を要した。
朝かと思ったが、これはどうやら蛍光灯の光らしい。恐らく天井に取り付けられた蛍光灯が、上から煌々と照らしているのであろう。

ここは、会社であろうか……?どうやら、机に突っ伏して寝てしまっていたらしい。頭を少し持ち上げるとガンガンとひどい頭痛が私を襲った。まさに、頭がこのまま割れてしまうんじゃないかと思うくらい、誰かが頭のなかか外から鈍器で殴っているのではないかというくらい鈍い重い痛みだった。

「いっ…………!」

何とか頭を上げて体をゆっくり起こし、んー、と伸びをした。伸びをする時力が入ってしまい、余計に頭が割れてしまうかと思うくらいの激痛が走ってしまった。

それにしても……

「ん?!ここは……??」

よく見てみると、何だか、見覚えがない場所。
会社でないのは勿論、自分の部屋でも、由紀の部屋でもない。
全く見覚えのない風景。
辺りをゆっくり、見渡す。

すると、何だか町でよく見かける標語のようなものや、ポスター、そして、何だか人相の悪い写真の数々が、壁に貼られていた。

ん??……待てよ??
寝起きで尚且つガンガンと物凄い勢いで頭をうちこわそうとしているかのような頭痛をともなった頭では到底即刻考えたりできるわけがない。

「あ、目覚められましたか。」

どこからともなく、感じの良さそうな男性が、白のワイシャツに、青いスラックスのような出で立ちで、目の前に現れた。

誰?この人……?
必死に思い出そうとしても、思い出せない。
黒い髪に、スッと、通った鼻筋。薄い小さな唇に、優しそうな眉。全体的に犬顔のような愛くるしい感じをまとっている。きっと目がうるっとしているせいもあるのだろう。一般的には、醤油顔、といったところだろうか。

しかし、私の頭のなかのダイヤル帳を何度繰っても、ひっくり返しても、このような顔の人と一致する人は検索されなかった。すなわち、見知らぬ人、知り合いではないのである。

と、いうことは……

私はいま、どこがわからない場所で、誰か知らない人といる。
おまけに時間もわからない。

ボーッとした頭では、はっきり、物事を考えられないけど、おそらく、おそらく、芳しくない、マズイ状況なんだろうなあーということは、頭をよぎった。

その瞬間、背筋がぞーっとする。




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