私の好きな人は駐在さん
「大分、酔っておられたようですし、今もまだ覚めやらぬって状態かもしれませんけど、いくつかご質問させていただきますから。」
心なしか、若干機嫌悪そうに、足にキャスターのついた椅子に腰掛けながら、その爽やかな男性がいった。
し、しつもん?!
私はあっけにとられた。
その表情を読み取ったのか、その男性は、
「あのね、いわゆる、職務質問みたいなもんです。こんな夜中に、そんな格好で歩いてたら、やはり見て見ぬふりはできませんからね。」
と続けていった。
しょ、くむ……しつも……ん!?!?
「え!職務質問?!」
思わず声に出して叫んでしまった。
その大きな自分の声が、自分の頭のなかで反響し、ガンガンと響いた。痛い。
「ま、そんな感じのもの。」
そういいながら、なにやら書類に目をおとし、左手でペンをもち、さらさらと慣れた手つきで書類を記入しはじめた。
ようやく、うっすらと、事態が飲み込めてきた。
この光景。
よく考えると、よく町でみる、いわゆる 交番 というところっぽいのである。そう思うと、よりいっそうそうなのである。というか、それ以外考えられない。
と、なると、必然的に、この目の前にいる男性は……
「け、けっ警察官!?」
私は思わず起き上がって立ち上がってしまった。
「はい。そうですよ。じゃあ、まずお名前と、住所。」
事務的手続きを行うかのように、さらさらと先へ進めようとする。