私の好きな人は駐在さん
そうして、幾ばくほどたっただろうか。
数時間かもしれないし、はたまた、数分もしれない。
あれ以来、お互い何だか気まずくなってしまったように、何も話さなかった。私も元々人見知りだし、先の件もあって、恥ずかしいしで、無言を貫いていた。彼は、あれ以来口を開かなかった。奥の部屋とこちらをいったり来たりしながら、何か職務をこなしているようだった。邪魔をしてしまっても悪いので、一層押し黙ることを選択した。
決して居心地が悪いというわけではなかったが、何もすることもなく、ただ針時計がチクタクと時を刻む音と、度々椅子から立ち上がる時に発せられる、椅子のきしむおと、彼の足音くらいしか聞こえなかったため、退屈ではあったので、ひどく時間の流れがゆったりと感じられた。
私は座っていた椅子から立ち上がり、出口の方に歩いていった。外をキョロキョロ見回すと、外は真っ暗であった。
時計の針は、夜更けを表していた。
どおりで静かなわけである。この交番が静かなだけではなく、全体が静寂に包まれているのだ。
「迎えにこられましたか?」
背後から、この静寂によくマッチした声が投げ掛けられた。