私の好きな人は駐在さん
家に帰ってからも、今日の甘い余韻に浸っていた。
あの、幸せな時間がずっと、続けばいいと思った。
また、明日も、彼に会いたいと、思った。
でも、人間というのは、欲深い生き物だ。
今までは、遠くから彼の姿が見られれば、もうそれだけで幸せだと思っていたのに、今は、確かに、それだけでも十分だけれど、でも、見たいだけじゃなくて、恥ずかしいけれど、もっと話してみたい、もっと知りたい、と思うようになっていた。
そして……
由紀と話したあのこと。
答えが出るのは、思っていたよりも早かった。
今まで忘れていた。捜していた、この気持ち。
不意に、それでいて、そっと柔らかく、私の心の中に、小鳥のように舞い戻ってきた。
ずっと、捜していた、恋心。