私の好きな人は駐在さん
人々の華やかな笑い声と、きらびやかな衣装。
何の関係もない人でも、この状況を目にすれば、たちまち誰もが幸せになれるだろうと思われる雰囲気に包まれている。
こんな日は、人生にそう何回もこないと確信を持っていえる。
冬にそぐわぬほどの晴れ渡った空。
寒さの中に何とも言えぬ温かさの伴った、今日という日。
私はこの幸せの余韻に、すっかり酔ってしまいそうだった。
下手したら、主役の由紀よりも号泣してしまうんじゃないかと思われるくらい。
白いレースのはおりものに、薄い紫のパーティー用のワンピースに、ピンクゴールドのネックレスとピアス。
髪は美容院でセットしてもらい、少し華やかな髪飾りまでつけてもらってしまった。
少し気恥ずかしいけれど、でも、今日は心から、めでたい日。
私の大切な人が、一生幸せで暮らせるように、お祈りする日。
そして、その美しい姿を目に焼き付ける日。
そして、その幸せをおすそ分けしてもらう日。
「由紀、入っていい?」
控室の部屋のドアをノックし、話しかけた。
なんだか少し緊張して、そわそわしてしまう。
「いいわよ、入って。」
由紀のいつもと変わらないその言葉とともに中へ足を踏み入れた。