私の好きな人は駐在さん

式もお開きになり、二次会、三次会と開こうか、ということになったものの、出席者もはじめからそんなに多いわけでもなかったため、いったん飲みに行って、そこで残りたい人は残って、帰りたい人はお開き、って形にしようということになった。
私は式でかなり美味しい食事をたくさんいただいたし、式の後に行ったお店でワインやらシャンパンやらをたしなんだため、もうすっかり満足して、ほんのりほろ酔い気分で、先にお暇することにした。

「一人で帰れる?かおる。」
シックな感じのドレスに着替えた由紀は、心配そうに尋ねた。

「大丈夫だよぉ!結婚式にまで迷惑かけてどうすんのよぉ!ほら、新婦さんは楽しんで!」
そういって、由紀の肩をたたいた。

「本当に今日はおめでとう。私も嬉しかった。ありがとう。」

そういうと、一瞬由紀の瞳が揺らいだように見えた。

「こっちこそ、ありがと。……気を付けて、帰るんだよ。」
そういって、私の手を取った。

「じゃぁ、またね。新婚旅行も楽しんで~!お土産よろしくぅ!」
そういって、私は右手を軽く上げた。

「オッケ、面白いもの買ってくるよ。」


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