私の好きな人は駐在さん

「あっ!!たいしたことないです!!気になさらないでください!」
そういって、私は自力で歩こうとした。

「いたっ……!!」
ずきずき、と体重を右足にかけると激痛が走った。

「だめだめ、無理しないでください!」
そういって、彼は、しゃがみこんだ。

「はい。」
そういって、彼はしゃがんだまま、私に背中を見せた。

「へ?」
私は目の前の状況がイマイチ理解できず、腑抜けた声を出してしまった。

「さぁ、乗ってください。おぶるので。」
そういって、彼は再び促した。


は!?!?
おぶる!?!?
おぶるって、あの、おぶる!??!?


もう、何が何だかわからない!!
いきなり、見知らぬ男に追いかけられ、そこになぜか渡部さんが現れ、そして、今まで見たようなことのない険しい表情の渡部さんを目の当たりにし、揚句、なぜか手を握ることになっただけでなく、
おぶる!?!?


どうなってるの……



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