私の好きな人は駐在さん
――もう、会場はすっかり大盛り上がりだった。
肩を組みながら、陽気に歌を歌っているデスク達、
可愛らしい衣装を身にまとって、きゃっきゃとガールズトークに花を咲かせる新入女子達、
早く酒を持ってこいだの、若手を捕まえてクダを巻いている中堅女子社員、
様々な世界がそこでは繰り広げられており、
それらは個々独特の状況でありながら、何故かほんわか一つの空間に収まっていた。
かく言う私も、グラス片手にほろ酔い?気分……かな?
いや、これは酔ってないかな?エヘヘ。
グラスに入った白ワインをくっ、と口に流し込む。
「先輩~、大分飲みましたか?顔赤いですよ?大丈夫ですか!?」
ウサギの耳のカチューシャを頭につけ、白いふわふわしたワンピースを着た、理子が駆け寄ってきた。
歩く度に裾がふわふわ揺れる白いワンピースが、彼女の可愛らしい顔立ちにぴったりマッチしている。
「えっ!?酔ってない、酔ってな~い!」
手を顔の前でヒラヒラさせながら答えた。
「本当ですか~?何か酔ってるように見えますけど……。」
理子はまじまじと私の顔を覗き込んだ。
「そんなじっくり見ないでよ、恥ずかしいぃ~。」
私は顔を背けながら、理子の肩を軽く押した。