いつか、眠りにつく日
 そうだった。

 栞を探して未練解消をするんだった。

「あ、あの、孝夫さん、ありがとうございました」

「いえいえ。僕も身の上話を聞いていただいてうれしかったですよ。どうか、未練解消がんばってくださいね」
あいかわらずやさしい笑顔でそう言った。

「行くぞ!」

 見ると、もうクロは門から外に出ようとしている。

「あ、待って!じゃ、じゃあ失礼します!」
そう叫ぶように行って、私も後を追いかけた。


 何か、胸にせつなさが残っていた。

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