いつか、眠りにつく日
 案内人であるクロは、私が未練解消をするための助けをすると言っていた。そして、それが仕事だとも。

 という事は、死んだ人たちそれぞれに案内人がいるってことなのかも。

 誰もが未練を抱えて死んでゆく・・・人間とはそういうものなのだろう。

「おい、ボーっとするなよ」
突然声をかけられ、「ヒャッ」驚いた拍子に足を踏みはずし前向きにすっころんだ。ぶざまな格好で床に転がる。

「痛い~。もう、驚かさないでよ」

「ボーっとするなって言っただけだろうが」

 差し出された右手。

「何?」

「いいから、ほら」

 しばらくその右手を眺めていたが、素直に右手につかまり起こしてもらった。



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