いつか、眠りにつく日
「ここからは建設途中だな」

 急に視界が広がり、強い風が吹きつけてきた。足場がいくつも組まれ、それがさらに上まで続いている。

「これ、登るとか言わないでよ」

「ん・・・。まあここでも見えるだろう」

 クロが吹きさらしのビルを見やすい場所を探して歩き出す。

 ところどころ床が張られておらず、ビルの端には手すりすらない。

「落ちるなよ」

「落ちたらどうなるの?」
逆に尋ねてみた。

「普通に大ケガして痛みもあるが死ねない。血が出て骨は折れて、見れたもんじゃないだろうな。それこそホラーみたいになるぞ」

 どんな顔をしているのか離れているので暗くて見えないが、言い方がおもしろがっているように聞こえる。


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