いつか、眠りにつく日
 階段を降りきったクロは、通りを迷いなく進んでゆく。

「クロはさ、疲れないの?」

 後ろから声をかけると、
「別に」
とそっけない返事。

 こちらを見ようともしないその姿が、だんだんと慣れてきて心地良くさえ感じている。

「なに、お前疲れたのか?」

「別に」
そう言ってクロを追い抜いてみせる。

「変なヤツ」
街頭の明かりに照らされた顔が微笑んでいる。

 

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