いつか、眠りにつく日
 ピッ ピッ ピッ ピッ

 電子音が耳をとらえた。

 厨房のフライヤーのタイマーかと思ったが、その音は頭の中で鳴り響いているみたいに近い。

 キョロキョロあたりを見回すが、やがてその音は学生の爆笑に消えて聞こえなくなっていた。

「何やってんだ、こんなところで」

 いつの間にか、クロがそばに立っていた。

 驚きはしない。

 いつだって、彼はそばにいたから。

「別に。ただヒマだったから」

「は?ヒマ?何言ってんだ、お前」
小バカにしたような口調に私はクロを見た。

 言いたいことはあるのに、私は何にも言えずにいた。

< 126 / 264 >

この作品をシェア

pagetop