いつか、眠りにつく日
 ヒマじゃないのは分かっているから。

 そうじゃないと、クロが帰れないのも知っているから。

 私が大人しいのに気づいたのか、クロは「ったく」とつぶやくと、私のとなりに腰掛けた。

「ここはうるさいとこだな」

「学生はお金ないからね。こういう所に来るんじゃない?」

クロが不思議そうに尋ねる。
「お前の思い出の場所なのか?」

 ゆっくり首を横に振る。
「全然。ただ、こういうのもチャレンジしてみるべきだった、っていう未練」

「そうか」
とだけクロは言い「それは未練のリストにはない。さ、出るぞ」と私の背中を軽くはたいた。





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