いつか、眠りにつく日
「えーっ、そんなこと言わないでくださいよぉ」
泣きそうな顔をしてカクガリは両手をすり合わせて、神様よろしくお祈りをしてみせた。

「ねぇ、カクガリ」

「カク・・・、え?」

___しまった、つい呼んでしまった!

 今度はクロがプッと吹き出した。

「いや、あの・・・、まぁいいじゃん。あんたカクガリね。でさ、涼太君の未練の相手の名前は分からないの?」

「はぁ・・・。名前が分かれば苦労しませんよ」
カクガリという名前が不満なのか、口をとがらせてすねている。

「俺クラスになると分かっちゃうんだけどな」
クロが聞いてもいないのに自慢している。

 ベッドに目をやると、こんもりと膨らんだ掛け布団から良太の顔がのぞいていた。

 目が合うと、すぐに中にひっこんでしまう。




< 145 / 264 >

この作品をシェア

pagetop