いつか、眠りにつく日
「お前、どうするつもり?」

 すでに窓の外は暗くなりつつある。涼太は泣いたり叫んだり興奮したせいか、ベッドの上でぐっすり眠ってしまっていた。

「仕方ないじゃん。乗りかかった船だし」
涼太を起こさないようにリビングに移動しながら私は言った。

「残り7日だぞ。つまり42日が過ぎてるんだぞ」
不平を言いながらクロもついて来る。

 カクガリがそれを聞いて、
「え!そうなんすか」
と驚きの声をあげた。

 リビングにつくと私はソファに座る。ふたりも遅れて腰をおろした。
「ねぇ、クロ。私は自分の最後の未練が何なのか分かってる。決心がつかないだけ。だから、今は涼太君のことを考えてあげたいの」

「それって、現実から逃げてるだけだろうが」

「ま、そうだけどね」
 
 否定はしない。実際、逃げているのだから。『乗りかかった船』ではなく『渡りに船』のほうがニュアンス的には近いのだから。


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