いつか、眠りにつく日
「なんだかんだ言っても仲良くなったみたいね」
隣を歩くクロを見て笑うと、
「俺はごめんだ」
と、あくびをしている。

　幼稚園は遠くからでもすぐに分かるオレンジ色の屋根のかわいい建物だった。少子化の影響なのか小さな幼稚園だった。

「こっちだよ」
少し得意気に涼太が校門の中へ走ってゆく。遅れて私たちも中へ。

　中庭みたいなところでたくさんの子供たちが遊んでいた。まだ濡れている砂場もかまわずにはしゃぎ声をあげている。

「あ・・・」

　見ると涼太がすべり台で遊んでいる数人のグループに大声で話しかけていた。

　当然のように、子供たちは涼太のことが見えていない。

　それでも一生懸命涼太は話しかけていた。





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