いつか、眠りにつく日
 彼らが見えていないにも関わらず、何度も何度も話しかけている涼太の姿は・・・。

「せつないな」
クロがぼそりと言う。

「かわいそうに・・・」
私もうなずいた。

 すべり台を終えた子供たちは次の遊具へ走り出す。

 これまで一緒だった仲間が、もういないことなど気にしてないように笑顔で。


 涼太は、その姿を立ち尽くして見ていた。子供心に何か思うことがあるのか、その目は少し潤んでいるように見えた。

「あいつらが一番仲のいい友達?」
カクガリが涼太の頭に手を置いて尋ねた。

「まさくん、カズに綾ちゃんだよ」
視線はそのままに涼太が言うと、カクガリがクロに視線を送った。

「光らないな。未練の相手ではないのかもな」

 私は涼太のそばにいくと、しゃがんで視線を合わせた。



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