いつか、眠りにつく日
「どこに案内するの?」

「あっちの世界」
当然、という感じで男が言う。

 わけの分からない会話も、話をしているとだんだんと自分が落ち着いてくるのが分かった。

「本当に私は死んだの?」

「しつこい」
ピシャリと言い放つ。

「じゃあ、今の私は幽霊ってこと?」

「まあ、人間の言い方で言えばそうなるな。普通の人間には見えないけどな」

「あの事故で、他には誰か亡くなったの?」

 男が目を細めて私を見た。
「・・・いや、死んだのはお前だけだ」

「そう・・・良かった」


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