いつか、眠りにつく日
「この部屋ですね」
カクガリがアパートの一階の部屋の前で言った。アパートといっても、少し前ならマンションと呼ばれていたであろう鉄筋の立派な建物だった。

「仲山って表札でてるね」
プラスチックの表札を指差す。

「じゃあ中から鍵あけますね」
カクガリがドアの中に消える。

「すげー!」
涼太が目を見開いて興奮している。

「さ、涼太君。ワスレンジャーの出動よ」
そう声かけると、「うん!」と目を輝かした。

 もう一度周囲に目をやる。

 やはり、クロの姿はなかった。

___いいんだあんな失礼なヤツ。いなくなって清々する



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