いつか、眠りにつく日
 校舎の階段を降りてゆくと、否が応でも現実味が押し寄せてくる。

「大丈夫か?息が白いぞ」
クロが振り返りながら尋ねてくる。

「大丈夫、できるもん」

 息を止めて笑って見せると、クロは苦笑いして背中を向けた。

「ここまで、長かった」

「そういうのは全部終わってから言うもんだぞ」

「はは、そうだね。でも、未練を解消しちゃったら、すぐに消えちゃうでしょう?早めにお礼を言っておきたいの」

 数歩進んで、クロが立ち止まる。

 こちらを見ると、
「熱でもあるのか?気持ち悪い」
と変な顔をした。

 
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