いつか、眠りにつく日
 今度は私が驚く番だった。

「なんでそんなに普通なの?」

 蓮は少しも動揺した様子を見せずに、私を見つめてきた。

「もう一度会える気がしていたから」

「へぇ・・・」

 少し混乱しながら後ろを振り返りクロの姿を探すが、どこにも見えなかった。

「蛍、会いにきてくれてありがとう」

 いつもの冗談もなく、じゃれあいもなく、ただただ彼は私をやさしく見つめる。

 光がゆれるたびに、まるで彼自身が消えてなくなりそうで不安になる。


 言いたいことはたくさんある。

 言わなくてはならないことも。



 


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