いつか、眠りにつく日
 見慣れた風景も、なんだか違って見える。

 クロがバス停で立ち止まる。

「バスに乗るの?」

「そういうこと」

 ベンチに座ったクロの横に私も腰掛ける。

 足を組んで目を閉じたクロをまじまじと見る。

「なんだ?」
気配を感じたのか、それとも見えているのかクロが目をつぶったままぶっきらぼうに言った。

「クロもさ、もともとは人間だったのかな、って」

「お前らみたいな低脳といっしょにすんな」

「見た目が人間じゃん」

 すると、クロは片目を開いて私を見た。
「これはな、こういう姿の方が人間が驚かないだろ。そのために姿を変えているだけだ」


 

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