いつか、眠りにつく日
 せっかく想いを伝えたのに、これで終わりなの?

 まだ、さよならも言えてないのに。

「蛍」
茂みからクロが出てきた。

「クロ!蓮が、蓮がいなくなっちゃった」

 なおも走り出そうとする腕をクロにつかまれる。

「蛍、落ち着け」

「離してよ。蓮が、蓮が!」

「落ち着けって。自分の身体を見てみろ」
クロが強く腕を引っ張った。よろめいた拍子に、視界に自分の足元が映る。

「あ・・・」

「・・・光が消えたんだ。もう、蓮からは蛍の姿は見えない」

「そんな・・・」
力が抜け、その場にうずくまるようにして座り込む。


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