いつか、眠りにつく日
「意識不明ながら」
うなずきながら困ったような顔をする。

「ああ・・・」

 思い当たるふしがあった。

 父も母も、私が生きているからこそあんなに普通の日常を送っていたのか・・・。遺影がなかったのも理解できる。

「てことは、まだ死ぬかどうか分からないの?」

「いや、お前は生きる運命だ」

「だったらどうして?」
どうして未練解消なんて・・・?

「あの段階ではまだ死ぬか生きるか分からなかった。だから、上から未練解消の指示が出されたんだ。お前は全部の未練を解消した。だから、この先どうするかはお前が選択するんだ」


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