いつか、眠りにつく日
「じゃあ本当はどんな姿なの?」

「さあな」

 あいかわらずそっけない言い方。

 文句を言おうとした時、バスのエンジン音が聞こえた。

 クロはさっさと立ってバスが停まるのを確認すると、扉が開く前にすり抜けてバスの中へ入って行った。
 私も同じようにすり抜けようとしたが、うまくできずに扉が開くのを待ってから中に入る。

「どうしてクロはすり抜けられるの?」

「意識だよ。すり抜けようと思えば、お前だってできるはず。要は練習だな」


 バスの中はクーラーが利いていたが、クロの言うとおり精神が安定しているのか寒く感じることはなかった。

 クロは両手でつり革につかまって立っている。
 
 私がその横に並ぶと、外を眺めながらクロは口を開いた。

「これからお前がやることについて説明をする」

 私は黙って横顔を見つめた。


 



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