いつか、眠りにつく日
「まぁ、たまにヤバくなりそうな時もあったが俺の演技力でカバーしたんだ」
クロがまんざらでもないふうに胸をはって言った。

「ねぇ、本当に3人は死んじゃったの?」

 逆だと思っていた。

 だからこそ、未練解消をしなくてはならないって思っていた。

「ああ」
その時初めて蓮が言葉を出した。

 蓮と目が合う。

 目をそらさずに私を見つめてくる。

「蓮、信じたくないよそんなの」

「俺はすっきりしてる。想いを伝えられたから」
そう言って笑った。

 蓮がさっき言っていた『そばにいられないけど』の意味が痛いほど分かった。

 そばにいられないのは、私じゃなくて蓮の方だったんだ。

 涙がこみ上げてくる。

 
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