いつか、眠りにつく日
 蓮は笑いながらため息をつくと、腕を伸ばして私を抱きしめた。

「だ~め」

 嗚咽をこぼしながら、
「何よ・・・ケチ」
と言うと、
「ケチだからだめ」
とさらりと拒否された。

「蛍、生きろ。俺たちの分まで生きるんだ。いつかまた会えたら、この世での話を聞かせてほしい」

「やだ。そんなのやだ!」

「わがまま言うなよ」
身体を離して至近距離で微笑む。

 クロが言う。
「そろそろ時間だ」

 ほとんど身体からの光は消えていた。

「ほら、最後にお別れをするんだ。お別れを言いたかったんだろう?」

 


< 256 / 264 >

この作品をシェア

pagetop