いつか、眠りにつく日
 ナースステーションから視線を廊下にうつす。

 祖母の部屋は廊下の突き当たりだ。

 もう一度ナースステーションに目を戻す。

___?


 何かが視界に入ったような気がした。

 もう一度ゆっくりと廊下を見る。

 看護師が点滴台を運んでいる。その向こうには患者であろうパジャマの男性が歩いている。さらに、はしっこにある簡易ベンチに老婦人が腰掛けてこっちを見ている。

___こっちを見ている?

 パジャマ姿の老婦人、歳のころは70歳くらいだろうか。視線が私の目にあるような気がする。

 軽く右手を振ってみる。

 すると、彼女もこちらに手を振っているではないか。

「見えるんですか?」
思わず声をかけると、彼女は目をまんまるく開いたまま何度もうなずいた。



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