いつか、眠りにつく日
 足から力が抜けるような気がして私はその場に座り込んだ。

「何か悪事に巻き込まれてるんじゃないかい?」
頭から降る竹本の言葉にも反応ができなかった。

 ぼんやりと手すりの向こうの町並みを見つめる。

「だいたい、おかしいよ。未練の解消はひとりにつきひとつって決まってるんだよ。それに相手の名前なんて教えない。どうも納得できないね」

「何がなんだか分からなくなりました・・・」

 肩に竹本の手が置かれた。
「・・・どんな気持ちだい?」

___どうでもいい

 なぜ人間である竹本の手がすり抜けずに肩に触れられるのか、そんなことも考えられずに頭が真っ白になってゆく。

「全部、どうでも良くなりました」

「そうかいそうかい。苦しいんだね?」

___苦しい

「はい・・・」



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