いつか、眠りにつく日
「そう・・・何か悪いことしちゃったな。私が無視していれば消えることもなかったのに」
ため息がこぼれる。

 クロは黙って私を見ていたが、
「蛍」
と先ほどまでとはうって変わった静かな声を出した。

 そちらを見る。

「お前さ・・・。なんでそんなに周りにばかり気を使うんだ?あの地縛霊はお前から精気を吸い取ろうとしたんだ。あのままだとお前が消えていた。それなのになんでそんなふうに言える?それはやさしさなのか?」

 クロと視線を合わせる。

「分からない。でも、少なくとも親切な人に見えたの。裏切って苦しませるより、裏切られて苦しみたいって思うの」

 また厳しい言葉が来るかと身構えたが、クロは、
「そうか」
と小さな声でつぶやいただけだった。

「クロ、いつになったら病院にまた行けるの?」



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