いつか、眠りにつく日
「これなんだけど」
祖母が差し出したそれは、紫色のハンカチに包まれたものだった。それを受け取り、ハンカチを開く。
「あ、これって・・・」
中から現れたのは、祖母がよく使っていた手鏡だった。10センチくらいの丸い鏡にきれいな花の形をした装飾がいくつもついている。
「昔よく蛍ちゃんが欲しがってたでしょう」
そう、小さい頃に祖母が持っていたこの鏡が欲しくてよくねだったものだ。そのたびに祖母は『これは昔から代々受け継いでいるものだから』と困った顔をしてたものだ。
「だめだよ、これは。大切なものでしょう?おばあちゃんが持ってて」
ハンカチを包みなおし返そうとするが、祖母は首を振るだけで手を差し出そうとはしない。
「おばあちゃんね、蛍ちゃんが死んだってことを聞いたときに、『あぁ、あの鏡をあげればよかった』って思ったの。蛍ちゃん昔からこれをとても欲しがっていたものね。だから、棺にも入れようとしたんだけど・・・葬儀屋さんにダメだって言われちゃってね」
祖母が差し出したそれは、紫色のハンカチに包まれたものだった。それを受け取り、ハンカチを開く。
「あ、これって・・・」
中から現れたのは、祖母がよく使っていた手鏡だった。10センチくらいの丸い鏡にきれいな花の形をした装飾がいくつもついている。
「昔よく蛍ちゃんが欲しがってたでしょう」
そう、小さい頃に祖母が持っていたこの鏡が欲しくてよくねだったものだ。そのたびに祖母は『これは昔から代々受け継いでいるものだから』と困った顔をしてたものだ。
「だめだよ、これは。大切なものでしょう?おばあちゃんが持ってて」
ハンカチを包みなおし返そうとするが、祖母は首を振るだけで手を差し出そうとはしない。
「おばあちゃんね、蛍ちゃんが死んだってことを聞いたときに、『あぁ、あの鏡をあげればよかった』って思ったの。蛍ちゃん昔からこれをとても欲しがっていたものね。だから、棺にも入れようとしたんだけど・・・葬儀屋さんにダメだって言われちゃってね」