いつか、眠りにつく日
「・・・ありがとう、は?」

「はい?」

「助けてもらったんだ、お礼くらい言え」
クロはスーツについた土ぼこりを払いながら言った。

「ばっかじゃないの?」
私も立ち上がりながら答えた。
「だいたいあんたが私を置いて行っちゃったのが悪いんでしょうが!あんたこそ謝りなさいよ」

「なんで俺が謝んなきゃなんねぇんだよ」

「なんで私が謝らなきゃならないのよ」

 しばらくそのままにらみ合っていたが、クロは肩をすくめると、
「どうでもいい。さ、行くぞ」
と歩き出した。

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