いつか、眠りにつく日
「おー、いたか孝夫。久しぶりだな」

 孝夫と呼ばれた男性は、やさしい笑顔を見せた。
「案内人さん、今回は早いじゃないですか」

「いや、今日は客を連れてきたんだ。こいつ、森野蛍」

 急いで私も頭を下げる。

___この人が呪縛霊?

 クロが私を指差す。
「呪縛霊とかその他の霊についてしつこく聞くから連れてきた」

「はぁ、なるほど。そういうことですか」
孝夫は大きくうなずくと、
「じゃあ、座って話しませんか?」
と家の軒先を指差した。

「ほら、時間がないからさっさとしろ」
クロに背中を押され、何がなんだか分からないまま言われたとおりにする。
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