帰宅部全国大会
「帰宅方法は人それぞれだ。それに、今回ばかりは愚策のようだしな」
先輩はケータイを覗いている。
そういやさっき俺にもメールが届いてたっけ。皐月先輩からかな?
丁度立ち止まっているので、ケータイを取り出しメールをチェックする。
予想通り皐月先輩からで、その内容に思わず「え?」と呟いてしまった。
「首都高で大型ダンプの横転事故。それにともない、一般道路に車が流れて渋滞が発生しているようだ」
「その渋滞の場所が……」
「そう。まさにここだ」
こんな偶然が起こるものなのか?
何事にもアクシデントは付きものだが、こんなピンポイントなことがあるとは……。
「帰宅部足るもの、やはり自分の足が一番信頼出来るな」
ほくそ笑みながら先輩は歩き出す。