帰宅部全国大会

「余裕かましてんじゃねえぞ。俺はテメェの動きがわかる。力も体力も俺の方が上。そうだろう破壊神?」


「確かにな。だがお前は決定的な間違いをおかしている」


不利な状況に変わりはない。それでも先輩は挑戦的な笑みを口元に刻んで、髪を掻きあげた。


「空手然り柔道然り、その根源は相手を殺す為に編み出された戦闘術だ。その過程で生み出された型は、もっとも効率よく且つ美しく相手を倒す為に進化した隙のない構え。型の流れを読むことなど、一流の空手家でさえ容易じゃない」


「わけわかんねこと言ってんじゃねぇぇぇええええ!」


男が攻めに転じる。


軽いフットワークで一瞬にして距離を詰めると、先ほどのお返しと言わんばかりに先輩の腹部へ右ストレートを放ち……。


男の身体が崩れ落ちた。


「悪いな。有段者がアマチュア相手に本気を出してしまって」


やだ……先輩テラカッコヨス……。


じゃねーよ。一体何が起こったんだ?
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