帰宅部全国大会

「手口はシンプルだ。お前の手を掴み頭上に掲げ、『この人痴漢です』と車両全体に行き渡る大声で叫ぶ。すると周りの仲間たちがターゲットを取り押さえて、そのまま鉄道警察に引き渡すという脅しをかける。最終的には大会を辞退させるという強硬派だ」


「いや、でも証拠がないでしょ。それに痴漢をしてるのは誘惑の婦女子の方なんですよ?」


「この手の犯罪は女性側が優位になっている。良い意味でも悪い意味でもな。周囲は奴の手駒、ジャッジも人の壁によって犯行現場を押さえられない。
そうなると女性側の意見が強く出てしまうんだ。それに、奴の手強い所は証拠を意図的に捏造してしまうことだ」


「捏造? 仲間に証言させるんですか?」


「それもあるが、物的証拠も作り上げてしまう」


先輩は恥ずかしげもなく言った。


「痴漢行為によって起立させた男性器を、写真に収めるんだ」


口の中に何も入れていないけど、ゲホゲホとむせ込んだ。


先輩の口から男性器とか、予想の斜め上過ぎて顔が熱い!


聞いてるこっちが恥ずかしい。もうちょっとオブラートに包んでください。


くそぅ、今の発言録音しとけば……ゲフンゲフンッ。
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