帰宅部全国大会

抜けだそうと考えれば考えるほど、思考は迷走して結論が出てこない。


モタモタしている内に、恥女の手がスススッと前に伸びてきた。


これ以上はマジでヤバイ。


いくら紳士(笑)な俺でも、直接ダイレクトアタックを決められれば、ダメージを受けざるを得ない。


こうなったら……こうなったら……!


「この人痴漢です!」


先手を取ってやった。


恥女の腕を掴んで、高らかに掲げながら大声を叫ぶ。


周囲の視線が俺に向けられて恥ずかしいが、ブタ箱に入るぐらいならこのくらいの羞恥には耐えてやる。


「この人ずっと俺のお尻触ってました! 痴漢です! めっちゃ痴漢です! まこうとなき痴漢です!」


今までこいつがこの手口で成功していたのは、きっと痴漢されていた側が訴えてこなかったからだ。
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