帰宅部全国大会
緊張して手が震える。淵ギリギリまで淹れていたら間違いなく溢していた。
別にやましいことを考えて手が震えているわけじゃない。多少はあるけど。
俺が緊張しているのは、これから先輩に俺の想いを伝えるため。
大会中必死に考えて生み出した、俺の答えを。
「話とはなんだ? わざわざ皐月が外れている時を狙うとは、よほど重大なこと見受けるが」
「あ、はい」
一口だけコーヒーを飲んで、カップをテーブルに置く。
小さく深呼吸をして気持ちを落ち着かせると、真っ直ぐ先輩の瞳を見つめた。
が、ちょっとだけ逸らした。直視するのは恥ずかしすぎる!
「この前俺の過去を話した時、先輩『そろそろ自分の帰宅道を見つけてみたらどうだ?』って言ったじゃないですか」
「そうだな」
「そんで俺、あの後自分なりに考えて。でも正直よくわかんなくて。でも考えて……」